【2024年3月開催】令和5年度山形県有機農業推進フォーラムレポート:有機農業の最新動向と未来への展望

山形県の有機農業の最新動向は?

山形県は、古くから有機農業への取り組みに積極的な地域です。米沢市、鶴岡市、新庄市、川西町、山形市、酒田市、高畠町と、7つの都市がオーガニックビレッジ宣言をしており、兵庫県に続き全国第二位の数を誇ります。

そんな山形県の有機農業の取組として、令和6年3月15日、山形国際交流プラザ(山形ビッグウイング)にて「令和5年度山形県有機農業推進フォーラム」が開催されました。こちらの記事では、このイベントの開催模様についてレポートしていきます。

山形県有機農業推進フォーラムとは?

山形県の有機農業の推進を目的として、県主導で行われているイベントです。
平成23年から始まったこのイベントは、令和6年で13回目の開催となりました。

日時令和6年3月 15 日(金)午後1時 30 分から午後4時まで
場所山形国際交流プラザ(山形ビッグウイング) 4階 中会議室

令和5年度山形県有機農業推進フォーラムは、大きく二部構成となっており、下記のような構成でした。

  • 第1部 やまがた持続可能な農業推進コンクール 2023 表彰式
  • 第2部 有機農業推進フォーラム
    全体テーマ「先進農業者に学ぶ!有機農業における生産技術および販売・経営戦略」
講演「株式会社農楽における有機農業の取組について」
株式会社農楽(のーら)代表取締役 千葉 康伸 氏
事例発表「県内の有機農業の取組について」
県内の有機農業実践者たち(やまがた有機農業の匠)

著者はオンラインで参加しましたが、オンラインシステムじょうに山形県内の近隣市区町村からたくさんの出席が見られ、山形県の有機農業に対する意欲の高さが伺えました。その他、千葉県、茨城県といった、関東地方の有機農業への取組に意欲的な地域や、東北地方の他の県からも出席が見られました。

第1部 やまがた持続可能な農業推進コンクール 2023 表彰式

第一部として、「やまがた持続可能な農業推進コンクール2023」の表彰式が行われました。まず、山形大学農学部の村山会長から、概要が説明され、賞状と盾の授与がおこなわれました。受賞者たちは緊張した面持ちで、自らの取組のポイントについて発表し、受賞のよろこびを口にしていました。

著者の個人的な意見ですが、今回、受賞者の方々は礼装を着用し、身なりを整えていらっしゃいました。著者個人としては、これが本当にこの場にふさわしい衣服なのか、問題提起したいと思います。何しろスーツ生地というのは石油製品が常であり、オーガニック製品であることは稀です。

身なりの部分でも、オーガニックなものの着用を奨励するなどし、有機農業への意欲を示していってみても面白いのではないかと思いました。

第2部 有機農業推進フォーラム

「株式会社農楽における有機農業の取組について」株式会社農楽(のーら)代表取締役 千葉 康伸 氏

講師の株式会社農楽 代表取締役 千葉康伸さんは、システムエンジニアの仕事から転職して、有機農業を始められたとのこと。神奈川県愛川町にて地産地消を大事にしながら有機農業をし、それと並行して就農者育成に取り組むなど、多方面に気配りをした取り組みをなされています。

「年々単収を増やすためには土づくりが大事です。土が作り出したエネルギーを収穫物として取り出すと、その分、土がやせてしまうため、その分のエネルギーを補填するために緑肥(ソルゴー・エン麦等)、雑草(野草)、茅(かや)、もみがらなどの有機物を土に還元します。そのほか、麦をまくとアレロパシーが起きます。」といった具体的なノウハウも公開。「日本は有機農業に適した地域」とお話しされていました。

「温暖化の影響により気候が変わってきているので、昔やってできなかったことが、本当に今もできないのか試行錯誤しています。神奈川県と共にマニュアルの作成に取り組み、自分が実践してきたことの見える化に努めています。

私が有機農業を始めたころに比べて、有機農産物の取扱店舗が増えてきましたが、国民すべてを取り巻く消費者理解と共に進めていくことが、持続可能な農業を進めていく上で重要です。

議論により物事に〇か×かをつけ、衝突を招くことよりも、行動で答えを示していくことが重要だと考え、取り組んでいます。」と述べました。

「県内の有機農業の取組について」県内の有機農業実践者たち(やまがた有機農業の匠)

村山地方の森谷氏は「かつては有機農業という言葉もなかったが、現在では機械を導入してスマート化に取り組んでいる。」、最上地方の石井氏は「手間のかかることばかりやっている。慣行農業のようなきっちり管理されたことは私には不向きで、それと比較して柔軟な有機農業は自分に向いている。」と話しました。

置賜地方の小関氏は、「様々な品種の栽培に取り組んできましたが、キュウリには一度挫折したものの再チャレンジしています。最近は大豆加工食品として、醤油や味噌の製造にチャレンジしています。私の畑は有機の認証を取得していますが、加工場は取得していないため、大々的にPRはせず、細々と取り組んでいます。有機農業に可能性を感じて高畠町で学び、30年間有機農業に取り組んできました。」と述べました。

庄内地方の今野氏は、「庄内共同ファームとして米作りに取り組んでいます。組合員の農家戸数としては19名で、組合員のコメを集荷して加工し、販売しています。大麦も作り、それで麦茶を作っています。減反への反対運動に端を発した組織です。問題も多いが、アイガモロボットなども導入し、有機農業の拡大に努めています。」と話しました。

山形県のコメ作りへの意欲の高さは正月の伝統行事にも表れている

2月の旧正月に開催された伝統行事「カセドリ」は、山形県を代表する正月行事です。稲わらで作られた「ケンダイ」と呼ばれる蓑(みの)を身にまとったカセドリが街を練り歩き、街中が大いに盛り上がりました。その光景が、著者には強く印象付けられています。稲への深い愛情が、こうした伝統行事の発展や継承にも貢献しているように、著者には思えます。

正月行事についての情報は、日本正月協会のホームページからどうぞ。

まとめ

山形県の有機農業への熱意が伝わるフォーラムでした。今後も山形県の有機農業の動向に注目していきたいですね。

参考文献:

この記事を書いた人
日本正月協会 代表 今成優太

日本全国47都道府県をめぐり、各地のお正月の郷土文化を研究・情報発信する、日本正月協会の代表者。2024年1月、TBSテレビ初出演。
農耕儀礼であるお正月行事の活性化の一環として、有機農業を盛り上げるため、優しいサイトの運営を開始。目標は「有機玄米もちを手軽に食べられる社会の実現」。
調理師、和食文化継承リーダーなど、食に関する国家資格を持つ。

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