群馬×岡山の有機ワインが飲める?群馬自然派ワイン研究会の活動【2024年3月決起集会レポート】

群馬にブドウやワインのイメージってないけれど、群馬の自然派ワインのイベントってどういうこと?何をするの?

去る2024年3月16日、群馬県庁32FにあるNETSUGENにて、群馬自然派ワイン研究会の決起イベントである「群馬を自然派ワインの産地に!?群馬自然派ワイン研究会&山育の学校」がおこなわれました。

NETSUGENは、山本県知事の鳴り物入りの政策として作られた官民共創スペースで、ここでは事業者同士の連携や共創を発生させる様々なイベントがおこなわれており、このイベントは、そのようなイベントの一つとしておこなわれました。

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酒は百薬の長と呼ばれ、適量に飲むとアルツハイマー予防になるという研究結果があるので、健康のために僕もオーガニックワインを時々飲んでいます。この研究会は、オーガニックワイン好きがたくさん集まる研究会かな?

群馬産の自然派ワインを研究するとは、いったいどういうことなのか?著者が実際に参加し、その様子を探ってきました。この記事で詳細にレポートしていきます。

【レポート】群馬自然派ワイン研究会発足イベント

ワインの写真

群馬県でワインと聞いても、あまりなじみがない組み合わせです。ワインといえば、国内では山梨県がワイン県としてプロモーションをしかけており、認知されていますが、群馬とワインという組み合わせはあまり聞かれません。それでは果たして、このイベントの趣旨はどのようなものなのでしょうか?

実は、こちらのイベントは、ワインの研究者やブドウの生産者らが集い、群馬県内に有機ブドウなどを使用した自然派ワインの産地作りを目指すための決起イベントで、「まだ世の中に存在していないものをこれから作り出していこう」という趣旨のイベントです。群馬×ワインが全く知られておらず、あまりピンと来ない話なのも当然なのです。まだ世の中に存在してないものの話なのですから。

まだ存在していない群馬産ワインをこれから作り出す……、そんな夢のような話が果たして本当にうまくいくのでしょうか?何よりも、その実現のための道筋を、専門家らが集まって、これから確立させていこうと意思を統一させることが、このイベントの一番の目的だったようです。

イベントの様子

ワイングラスが並ぶ様子の写真

イベントは1部と2部に分かれ、1部では、ピッチやセッションのカタチでビジョンの共有や意見交換がなされました。関係者同士の馴れ初めや、これまでの生い立ちを話し合うなどし、相互に理解を深めました。

2部では、試験的に作ったワインや、ワインの飲めない人に向けて、リンゴジュースが振る舞われ、参加者たちは舌鼓を打ちました。

参加者の中には、高崎市連雀町で自然派ワインショップを開業された方や、ミスワイン群馬の坪倉暦(つぼくらこよみ)さんの列席も見られ、ミスワインらしい立ち居振舞いで、ワインへの熱意をにじませていました。

群馬自然派ワイン研究会のビジョン

群馬自然派ワイン研究会は、自然派ワイン作りについて、生産者やワインの醸造者、時にはレストラン経営者なども巻き込みながら、生産者間のワイン造りのための知見を作ることを主な目的としているようです。主に生産者間での連携を深めていく活動となるようです。

一方で、一般消費者に向けては、ファンコミュニティのようなものを作ってイベントをおこなったり、一般社団法人ちもりの提唱する「山育(やまいく)」の学校を運営したり、できたワインのPRイベントを開催していきたいとの意向です。

具体的な数値目標としては、

3年後にカンパイができるようにしたい。

県下に20ワイナリーを立ち上げる

群馬ならではの品種のブドウでできたワインを、15年~20年後には提供できるようにしたい。

といった声が挙がっていました。

Q、有機?オーガニック?自然派ワインの定義とは?

ここで気になるのが、「群馬自然派ワイン研究会」という組織名にもなっている「自然派ワイン」という言葉の定義です。自然派ワインとオーガニックワインは、どのように違うのでしょうか?

イベントの案内には、「有機農法で育てた葡萄を使い、一切の添加物をいれずにワインを造る。 100%葡萄からできたワイン」と掲げられていたことから、著者は「オーガニックワイン」「有機ワイン」のことだと思っていましたが、話を聞くと、必ずしもそうとは限らない様子です。

「自然派という言葉は日本生まれで、その言葉の定義は厳密ではありません。私たちの目指す自然派ワインというものがどういうものになっていくのかも、まだ厳密ではなく、漠然としている状況です。

農薬をなるべく使わないようにしていきたいという想いはあります。しかし、その一方で、雨が多かったりなど、その年の天候などによって虫が湧きやすくなるなどし、農薬を使う必要性に迫られることもあります。品質や供給の面で安定性が確保できなくなれば、ブランドが維持できなくなります。

そういったことを踏まえて、『群馬の自然派ワイン』というのがどういうものになるかは、これから決まっていきます。ただ一つ言えるのは、関係者の誰かがやりたいことを妨げたり、誰かを排除したり、衝突を招くような規則づくりにはしたくないということです。

そのような関係性の中で、地域ブランドとしての認証をするなどし、『群馬の自然派ワイン』を育てていきたいと思います。」

群馬自然派ワイン研究会の活動内容

発足したての研究会であるため、今回のイベントを契機として、今後具体的な活動がおこなわれていく模様です。

活動内容

  1. 研究(山ブドウを中心に新しい品種を作る)
  2. サポート(研修、セーフティネット、ブランディング)
  3. マネジメント(知財、品質、販売など)
  4. 中長期の伴走支援
  5. 会員交流
  6. プレス

今後の活動予定

  • 2024年6月1日 試験植え&山育の学校(※雨天予備日:6月2日)※利根沼田地域内 
  • 2024年7月~ 月に1度程度の研究会
  • 2024年秋頃 山育フォーラム@群馬県内

群馬県みなかみ町の正月行事

群馬県みなかみ町の猿ヶ京温泉で夜通しおこなわれる「夜神楽(よかぐら)」は、知る人ぞ知るお正月の伝統芸能です。こちらにもご注目ください。

【神楽】猿ヶ京神明神社夜神楽(さるがきょうしんめいじんじゃよかぐら)|群馬県みなかみ町【群馬県正月イベント】
群馬県みなかみ町では、大晦日から元旦にかけて猿ヶ京神明神社夜神楽(さるがきょうしんめいじんじゃよかぐら)が開催されます。

Q、研究会が提唱する「群馬の自然派ワインの特徴」とは?

「オーガニック」や「有機」といった、(著者にとって)わかりやすい部分が特徴でないとすれば、「群馬の自然派ワイン」を特徴づけるものとは、一体どのような部分になるのでしょうか?

育種が群馬産ワインを特徴づける部分になります。育種というのは、世間一般にはあまり馴染みのない言葉だと思いますが、ブドウを交配させて、新しい品種を作ることです。岡山でのワイン作りのためのブドウをベースとし、群馬の気候や風土に適した病気に強い品種のブドウを開発することで、群馬のワインの特徴が生まれてきます。

Q、なぜ群馬で自然派ワインづくりを志すようになったのか?フランスの成熟市場で感じた限界

冒頭でも述べたように、「群馬産のワイン」というのは、2024年現在、一般にはなじみがありません。ではなぜ、群馬自然派ワイン研究会は、この地域でワインづくりを志すようになったのでしょうか?

「フランスでのワイン作りに限界を感じた。」と、フランスでのワイン造りに接した経験のある発起人たちは口にします。

フランスのワイン業界は成熟しており、地域ごとのブランドを維持するために『この品種で、このような工程で作らねばならない』といった取り決めにがんじがらめにされています。そこから先の発展性や、可能性が、フランスでのワイン造りには感じられなかったのです。逆に群馬県には、そういう縛りがまだ全くない。だから自由であるし、今後の可能性がいくらでもあるのです。

なるほど、フランスのワイン造りはもはや「完成」されてしまっていて、それを崩したり、カタチを変えたり、新しい取り組みを差しはさむようなスキがないということのようです。同様のことはおそらく、ワイン県として県がチカラを入れている山梨県でも、言えることでしょう。

一方で、それと比較して、群馬には、「ワインづくりを遮る歴史や風土」がないので、始めた人たちが自由に今後の展開を模索できるという「可能性」があるようです。

この点は、著者が日本正月協会の活動拠点を群馬にしていることと同じで、群馬県では伝統文化に対する関心がほとんどないので、活動に際し、批判や反発の声が上がらないのがやりやすいところです。一方で、関心がないために、仲間づくりがしづらいというのが、やりづらいところでもあります。

日本正月協会のホームページはこちら。

【日本正月協会】日本の伝統文化「お正月」の研究・調査機関
日本47都道府県各地のお正月の過ごし方を研究・調査し、後世と世界に向けその魅力を発信しています。
2024年 代表 年始挨拶「持続と発展の螺旋 ~有機栽培とAI、新時代の二翼で紡ぐ二〇二四年~」
日本正月協会 協会長の年始挨拶を下記に掲載いたします。主なテーマは「有機・無農薬栽培を応援」、「生成AI活用」、「国産SNS後日談」です。協会代表の簡単なプロフィールも掲載しています。

発起人たちの展望

群馬自然派ワイン研究会発起人たちの乾杯の様子の写真

本当に美味しいブドウの品種ができるのは40年後。そのさらに20年後に、できたブドウで作られた美味しいワインが作れるようになるでしょう。その頃には、私はもうこの世にいないでしょうが、孫の世代に、時代を超えて伝わるようなものを作っていきたいです。

代表:柳栄一氏。東京都出身。1998年から自然派ワインに関わる。

地域の特徴を、自然派ワインという地域の産物で表現することに、可能性を感じています。

副代表:石塚晶子氏。神奈川県出身、編集者。フランス時代からワインに縁。

産地化のポイントとして、スター生産者の登場が挙げられます。スター生産者が出てくることでワインの方向性が決定づけられ、生産地も認知されます。それをベースとして、他の生産者も再現可能な生産方法に落とし込むことで、産地として共通した特徴のあるワインを提供し、産地化していくことができます。

しかし、スター生産者ばかりが一方的に脚光を浴び、高価格化してしまうことで、産地全体としての定着を難しくするといった懸念もあります。地域一帯として安定した品質と味わいを供給することで、食文化として、地域ワインとして、ブランド化させ、普及、定着させていきたいです。

顧問:林慎悟氏。岡山県出身、育種家。生食の品種改良に限界を感じ、
ワイン用ブドウづくりに。地域づくりにも貢献する。

ゆくゆくは、タイやベトナムなど東南アジア圏にワインを提供し、世界に届けられるようにしていきたいです。フランスの名高い銘柄のワインなどは、フランスの外で飲むと美味しいのですが、その生産地で飲んでも、なんだかあまり美味しく感じられなかったりもします。

私たちの作るワインは、それを上回るよう、群馬で飲んでも美味しいと言われるような存在に育てていきたいです。そして、例えば、『ステーキに合うのはこの銘柄、チーズに合うのはこの銘柄』といったように、『〇〇に合うワインは群馬のワインだ』と、指名を受けるようなブランドづくりをしていきたいです。

顧問:大岡弘武氏。岡山県出身、醸造家。
山が大好きで、フランスから帰った時に松井田で大学の仲間と
ワイン作りを始めたことがきっかけで、ワインづくりの道に。

お酒が飲めない人用にジュースのプロデュースもしていきたいです。今日のイベントは、人の想いに触れる最初の一歩。6月の植栽イベントが、土に触れる最初の一歩となります。沼田市白沢地区で、2品種を30本ずつ植えます。今後の私たちの活動にもご注目ください。

PM:六本木ユウジ氏。群馬県出身、社会事業家。
群馬自然派ワイン研究会にはプロジェクトマネージャーとして関わり、
新しい群馬の品種づくりの研究にも取り組む。

発起人たちはそれぞれの意欲をこのように口にしていました。(なお、発起人男性陣は全員メガネでした。)

問い合わせ:主催団体 一般社団法人 ちもり

産・官・学・地・金などのプロフェッショナルが連携し、地域や社会の資源を活かした事業者たちと”共助”の環境づくりを進め、「山育」を提唱する。

  • 事務局所在地:〒378-0126 群馬県沼田市白沢町上古語父2158
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まとめ

まだまだ時間がかかりそうですが、群馬県内でワインが作られれば、地元民の著者としては喜ばしいことです。ただ、著者は、オーガニックのワインしか飲みたくないし、高価なモノには手が出ません。なるべく安価で、できるだけオーガニックなモノにしていただきたいと思います。

参考資料:

この記事を書いた人
日本正月協会 代表 今成優太

日本全国47都道府県をめぐり、各地のお正月の郷土文化を研究・情報発信する、日本正月協会の代表者。2024年1月、TBSテレビ初出演。
農耕儀礼であるお正月行事の活性化の一環として、有機農業を盛り上げるため、優しいサイトの運営を開始。目標は「有機玄米もちを手軽に食べられる社会の実現」。
調理師、和食文化継承リーダーなど、食に関する国家資格を持つ。

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