意外に大変!有機農業を始める前に知っておきたいデメリット7選

有機農業を始めてみたいけど、色々大変らしい。具体的にどんなデメリットがあるのかな?

近年、健康志向の高まりとともに、有機農産物の注目度が高まっています。しかし、有機農業は、慣行栽培とは異なる栽培方法であり、取り組む前に知っておくべき様々なデメリットも存在します。

この記事では、これから有機農業を始めようと考えている農業従事者に向けて、有機農業のデメリットについて、7つの項目を詳しく解説します。

【有機農業のデメリット1】土づくりに時間がかかる

多くの有機栽培農家さんを取材してきた中でよく聞かれるのは、「土づくりに時間がかかる」というお話です。

慣行栽培では、化学肥料によってまかなってきた養分を、有機栽培では、地中の微生物たちの活動によってまかなっていくことになります。そのため、土の中の微生物たちが活動的な肥沃な土地になっていないと、作物も十分に育てられないといった話が聞かれます。

このような豊かな土づくりは、一朝一夕でできるものではなく、有機栽培農家さんの不断の努力によってできるものです。この土づくりができるまで、耐え忍ぶだけの「忍耐力」や「経済余力」が、有機栽培を始めるにあたって、必要になります。

【有機農業のデメリット2】慣行栽培農家とのトラブル

有機農業では、化学農薬の使用が制限されています。そのため、周辺の慣行栽培農家による農薬使用で影響を受けるなどし、地域間での軋轢(あつれき)や隔たりを生み出す場合もあります。

慣行栽培から有機栽培に切り替える際には、地域や周辺への十分な理解や、相互コミュニケーションが必要になります。

【有機農業のデメリット3】新規の販路開拓が必要になる

大量に生産でき、価格を抑えた慣行栽培による作物と、少量生産かつ割高な有機栽培作物とでは、必要としているバイヤーや消費者は、違うものになります。そのため、慣行栽培作物の売り先とは違う、新たな取引先を獲得しなければならないという手間が発生します。

【有機農業のデメリット4】収穫量が減る恐れがある

有機農業では、化学肥料や農薬の使用が制限されています。そのため、病害虫や雑草の被害を受けやすく、慣行栽培に比べて収穫量が減少する可能性があります。

特に、有機農業を始めたばかりの頃は、土が十分に育っていなかったりして、収穫量が大きく減少してしまうケースも少なくありません。

【有機農業のデメリット5】認証取得の手間と費用

有機農産物として一般市場で流通・販売するためには、有機JAS認証を取得する必要があります。認証取得には、書類審査や検査などがあり、手間と時間、お金がかかります。ただし、取引先が決まっていて、強い信頼関係がある場合、認証を取得しなくてもいい「二者認証」と呼ばれるケースもあります。

また、認証取得の費用も商品コストに価格転嫁されるので、消費者にとっては負担になります。

【有機農業のデメリット6】栽培コストの増加

有機農業では、一般的に、慣行栽培よりも栽培コストが高くなります。なぜでしょうか?それは、有機肥料や堆肥などの購入にお金がかかったり、除草作業や病害虫防除などの作業の手間も増えるため、人件費も増加するためです。

農薬を使わないということは、作物が害虫からの被害に遭いやすくなるため、それを防ぐために、人の手がかかるのです。

【有機農業のデメリット7】市場規模の小ささ

有機農産物の市場規模は、まだ慣行栽培農産物の市場規模に比べて小規模です。

そのため、取引先を獲得し、安定収入を得ていくのは難しい場合があります。

有機農業にはデメリットも多い

有機農業は、環境や健康に配慮した栽培方法であり、多くのメリットがありますが、一方で、上記で紹介したような、さまざまなデメリットも存在します。有機農業を始める前には、これらのデメリットを理解した上で、十分な準備をすることが重要です。

続いて、これらのデメリットを克服したり、デメリットがあっても有機農業に取り組む意義をご紹介します。

有機農業のデメリットを克服するための対策

有機農業のデメリットを克服するためには、以下の対策が有効です。

  • 有機農業に関する知識や技術を習得する
  • 栽培計画をしっかり立てる
  • 他の有機農家と協力する
  • 地域や消費者への理解を深める取組をおこなう
  • 取引先のアタリをつけておく
  • 補助金や助成金などの情報を事前に把握しておく

有機農業の意義や未来への展望

様々なデメリットもある中で、それでも有機農業に取り組む意義というのは、

  • 環境のため
  • 健康のため
  • 経済性のため
  • 子どもの将来のため
  • 地域の発展やブランドづくりのため

といった理由が挙げられます。

有機農業は、まだまだ市場規模も小さく、発展途上の段階ですが、今後ますます注目され、拡大していく成長産業です。

栽培技術の向上や市場規模の拡大により、有機農業のデメリットは徐々に克服されていくでしょう。

まとめ

有機農業は、多くの課題を抱えている一方で、大きな可能性を秘めた栽培方法です。

デメリットを理解した上で、有機農業に取り組むことで、環境や健康など、より意義深い農業の未来に貢献することができます。

この記事を書いた人
日本正月協会 代表 今成優太

日本全国47都道府県をめぐり、各地のお正月の郷土文化を研究・情報発信する、日本正月協会の代表者。2024年1月、TBSテレビ初出演。
農耕儀礼であるお正月行事の活性化の一環として、有機農業を盛り上げるため、優しいサイトの運営を開始。目標は「有機玄米もちを手軽に食べられる社会の実現」。
調理師、和食文化継承リーダーなど、食に関する国家資格を持つ。

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